私は現在ソウルに住んでいる。韓国に来て1年半になるが、大の観光好きの私はほぼ毎週末、ソウルと首都圏を中心に観光スポットを巡ってきた。
今回は、これまで韓国の様々な場所を幅広く訪れてきた私が、一番好きな韓国観光スポットとその魅力を紹介したいと思う。
その観光スポットとは韓国各地に点在する壁画村だ。
さて、私の出身国の日本には、女性を中心に韓国旅行にハマり、何度も訪れるようになるリピーターが数多くいる。では、韓国が旅行者をこれほど魅了する理由は何であろうか。
私は、その最大の理由は韓国の街が “アートな感性” に溢れているからだと考えている。
どのような感性なのか具体的に言うならば、その場所の魅力を発掘しアーティスティックに彩る感性だ。そして、そんなアートな感性を最も感じられる場所こそ韓国壁画村だ。

上の写真はソウル鐘路区にある梨花洞壁画村。私が韓国に住み始めて初めての週末に訪れたのだが、ここで私は韓国壁画村の虜となる。
梨花洞壁画村は一見平凡な住宅街のように見えるが、街中至る場所にカラフルな壁画がびっしり描かれており、作品ごとにテイストも様々だ。細く入り組んだ住宅街の路地も相まって、いつの間にか宝探しをしているようなワクワク感に包まれながら壁画村を散策していた。
どこで撮影しても絵になるようなアーティスティックな壁画の数々、そしてふと後ろを振り返ると、壁画村のある斜面の麓に広がるソウルの街並みの絶景に息を呑んだ。


梨花洞壁画村をきっかけに韓国壁画村の魅力にハマり、ソウルを始め韓国各地の壁画村を訪れるようになった。そしてそれと同時に、壁画村が造られた背景も知った。
文章の初めに、韓国の街はその場所の魅力を発掘し、アーティスティックに彩る“アートな感性” に溢れていて、韓国壁画村はそれを最も感じられる場所だと書いた。もちろん絵画が街を埋め尽くすその姿は言うまでもないが、壁画村は生まれた歴史までアートな感性が深く関係している。
実は、韓国に存在する壁画村の多くが元々貧困層が密集して暮らす住宅街だった場所に造られている。かつて韓国全土を襲った朝鮮戦争によって住居を失った人々や、経済成長期に都市に流入した低賃金労働者などが集住していた場所だ。
時は流れ、韓国が経済発展を果たすと、貧困層の住宅街からも住民が離れていくようになった。その結果、空き家が増え、老朽化した建物が目立ち始め、人影の見当たらない寂れた雰囲気になっていった。
そんな景観問題を解消するために出てきたアイデアが “壁画村” だ。活気を失った住宅街を再び人が溢れる場所にしようと、全国各地で地域住民や芸術家が壁画を描くプロジェクトが行われた。その結果、韓国に多くの壁画村が生まれることとなった。

私は梨花洞壁画村の他にも、統営市にあるトンピラン壁画村、大田広域市にある大洞壁画村、水原市にある池洞壁画村などに訪れてきた。
どの壁画村も昔ながらの住宅と細い路地が可愛らしい壁画で埋め尽くされ、壁画村のある斜面の上から都市を見下ろす景色は本当に絵になる。
上にも書いたように、壁画村のある場所は元々人影が無くなった寂れた住宅街だった。都市の荒廃という社会問題に対し、住民や芸術家によって街中を壁画で埋め尽くして活気を取り戻そうという発想自体がまさに韓国の “アートな感性” を象徴していると私には思えてならない。
一見アートとは最も遠い存在のように感じる古い住宅街の迷路のように入り組んだ路地、街の斜面から眺める景色に美しさを見出し、芸術で彩る発想はアートな感性無くしては決して生まれることはないであろう。
かつて寂れた薄暗い雰囲気に包まれていた街は、都市を一望する絶景を楽しみながら、街中に描かれた芸術作品をゆったり鑑賞できる路上美術館へとその姿を変えた。
最後に梨花洞壁画村以外に私が訪れた壁画村の写真を紹介したいと思う。
是非今回の私の記事をきっかけに韓国壁画村を訪れ、写真撮影を楽しみながら韓国のアートな感性を満喫してもらいたい。




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